なぜだろう?マラソン大会に集う女性はみな美しい。
いやいや、まじまじと見つめれば、美人とか麗人ばかりってわけではない、おっと、失礼!でも、彼女たちの溌剌とした美しさにはいつも心打たれている。一つは、日頃から鍛えているからってことだろう。鍛え続ければ、身体ばかりか顔だって引き締まった凛々しさを湛えるものだ。ヤバっ!メタボ、ちっと走って無駄肉減らすか、なんて恥も外聞もないおっさんたちのような存在はほとんど見られない。
しかも、彼女たちは、十分に見られることを意識している。今時のウエアの華やかさはどうだ!スコート、ランパン、色とりどりのウエアに身を包み、それぞれが装いを競い合っているかのようだ。いや、かのようではない、ぜったい見せびらかせている。ねえねえ、私を見て、見て!この点も、夕涼みついでに大会出てみた的な男たちとか、それ超昔の部活ジャージだろ的な爺さんたちとは、雲泥の差だ。
だから、大会ともなれば、ついふらふらと、麗しき女性たちのそばでスタートを待っていたりする。できれば、ずっと並んで走りたいところだが、あっという間に置いていかれたり、逆にいくらなんでもそんなスローペースには付き合えんと、結局は一人旅になるわけだが、時折、抜きつ抜かれつする女性ランナーには、大いに励まされている。
ジムのマシーン走行だって同じことだ。いやいや、こちらはスピードが違ってたって、ずっと隣り合って走り続けられる。これは張り切るよ。ただ、ここらのジムは老人のケアハウスまがいだから、本格的に走っている女性は数人に過ぎない。いや、男を含めたところで両の手の指で事足りるほどでしかいないのだ。
で、今日はその数少ない女性ランナーと隣り合わせることとなった。すっぴんの素顔が、美しい!ジムながら、本格的にウエアをまとった姿が凛々しい!おおーっ、こりゃ!しゃきっとせねば!しゃきっとね。彼女が来る前は、明日からのゲネプロ、本番を前にして、軽めに7分/km、せいぜい6分30秒/kmで流そうって思っていた。ところがだ、走り始めるや否や、軽々とこちらのペースを越えていくじゃないか。こ、こ、これはいかん!たとえ爺と言えども、ランナーの意地を見せねば示しがつかぬ!とこっちもスピードアップ。ところが、ところが、彼女はさらにペースを上げて、なんと5分40秒のペース!お、おい、ちょっと速過ぎじゃないか、オーバーペース、オーバーペース!なんて思いつつも、仕方ない、こっちは5分30秒に!速い速い!マシーンの5分30秒ペースは飛ぶかのようだ。どうやらこの時点で、ペースの張り合いには勝利したが、すぐにペースダウンってわけにはいかない。うーん、辛い!苦しいぞ!いつまで走るんだ、お隣さん!
8kmを越えるあたりで、ようやく彼女はマシーンを降りて別のトレーニングへ。やれやれ!とは言っても、お隣がいなくなったからって、即座にペースダウンなんて、そりゃあまりに下心見え見えじゃないか。こっちだって自尊心てもんがあらぁな、ってことで頑張り通し、目標の10kmを走破してしまった。しかも予期せぬハイペースで!
と、まあ、ランニングにおける女性の美しさは、かくも男たちの、あ、僕だけか、やる気を燃え立たせ、ぎりぎりの踏ん張りを引き出すものなのだ。