やって来ました、河川清掃!
朝5時半起きも辛いけど、鬱蒼と生い茂った熊笹をぶっ倒す苦労を思うと、萎える。
足踏ん張って、腰を支点に草刈り機を振り続ける。
笹だけならいい、葛の蔓や野茨が絡まる。隠れていた灌木に当たって跳ね返される。おっと、危ねえ、よろめく足元!
所々、クルミや柳の木が生い茂り、もはやジャングルと化した護岸、ここは避けて通るしかないな。重機で切り倒してもらうしかないぜ。

年寄りになんちゅう重労働させんなや、なんて、弱音を吐くようになっちまったぜ。余分に働いて、へん、若けぇんだぜ、俺!って粋がってたのに、このざまはどうだい?もっと楽な箇所担当すりゃよかった、なんて、おっと、人には言えんけど。
硬い笹を刈り進むんで、エンジンは全開、40分で油が切れた。対岸から、Mさんの呼びかけ。いつもの刈り分終わったから、止めにしようって。えっ、まだ15分残ってるけど、いや、俺はもう少し頑張るよ、って数年前までなら言ったろうが、
あっ、ほだね、ちょうど油なくなったし、ここで終了ってことにすっか。河川清掃に駆り出される住民も、高齢者、女性、その他草刈り機扱えない人も増えて、働き手不足は歴然だ。
住民のボランティアに寄り掛かった清掃事業もこの先長くは続かないね。かと言って、町は予算不足、こんな山間地域の河川管理まで行き届かないだろうし。
こうやって、高齢化、過疎化とともに、地域が圧倒的な自然飲み込まれて行くわけだ。数年前、豪雨で川が溢れたように暮らしさえもが。
機械を担いで撤退、いのしし除けの高圧線を跨げば、田の畔は一見きれい?いやいや、これすべて除草剤で枯らしたんだ。
ここでも、手はなし、獣に追い立てられる里山の暮らし。

早めに強制終了した河川草刈り、朝飯までにゃまだ間がある。どれ、我が家の田んぼの周囲も刈っておこうか、と、来てみれば、

なんと、こんな道路沿いにまで出て来やがったか、クマさんよ。
そうか、そうか、ここらはお前たちのテリトリーになってしまったんだな。
出て行くのは人間の方かい。